キルギスへの移住ロシア人と、帰国者が急増
キルギスでは去年、9月21日、プーチン大統領が発動した「部分動員令」の直後から旅行者という名の逃げ出した人たちの入国が急増。直近9カ月間のデータによると、キルギスへ入国したロシア人が479,096人、出国した数が445,004人。去年同時期では247,676と比較すると1.8倍の数字になります。入国者と出国者の数字の差を見ると34,092人となる。この数字を見てどう思ったでしょうか?実はキルギスにとってこれは大きな数字です。人口は600万とも言われているキルギスですが、多くの人は出稼ぎ労働者として海外に行っています。その為、実際国内にとどまっている人の数は400万程度だと考えた場合。人口の0.85%になります。この数字は日本に置き換えたら100万人を超える数のロシア人が移住してきたのと同じ割合です。更にこれだけではありません。多くのキルギス人がロシアで仕事をしていました。今のロシア国内の情勢を受け、多くの在ロシアキルギス人が帰国していることもあり、大きな問題となっています。
今キルギスで起こっていること
では、部分動員令から逃げてきた(移住してきた)ロシア人が急増したこと、キルギスへの自国民の帰国者が増えたことで起きている問題と、これから起こるであろう問題について見て行きましょう。
賃貸料金や食料品の高騰
昨日キルギスのビジネスパートナーに電話をして今のキルギスの状況を聞いてみました。開口一番言われたことは『今はもう以前のキルギスではありません。』と言うことでした。どういうことかと言うと、キルギスは以前は物価の安い国であったという事です。今ではドルで換算してもあらゆるものが値上がりしました。地域密着型のリーズナブルな人気レストランぐらいが価格がほとんど変わらず営業しているだけで、給与も全体的に上がり、賃貸も、ビシュケクの中心地の高級賃貸であれば1.8倍郊外の安い賃貸でも2倍に値上がりしていたり、肉の価格や食べ物などの価格なども体感1.5倍~2倍ほど上がっているという事でした。私のビジネスパートナーは有名な日本食レストランを経営しているので、毎日忙しく売上がすごく伸びでいると言っていましたが、ロシア人が増えたことによる部分が大きいとのことでした。
首都ビシュケクの交通渋滞
キルギスに来たロシア人がどこに住むのかというと、多くは首都のビシュケクになります。そのため、今は以前では考えられない規模の交通渋滞が発生しているとのことでした。前も交通渋滞がありましたが、それ以上となるとすごいです。
今後キルギスで起こるであろうこと
これまで今起きていることの代表例を話させて頂きましたが、これからは今後起こるであろうことについて書かせていただきます。
就職難になる
何より大きな問題はこれでは無いかと思います。よほどのお金持ちでもない限り、収入なく普通に生活していたらいつかは資金が枯渇するわけです。もともと働き口が国内に無いからキルギス人は海外に働きに出ていたわけです。ロシアにも多くのキルギス人が働きに出ていました。それが今どんどん帰ってきているという現状。それだけでも無職増加が想像できます。そこに更にロシアからの脱出者が加わるわけです。簡単に想像出来ます。無職者が溢れかえり、何かが起きそうなそんな気配。その為政府も海外での働き口開拓を考えており、日本へ労働者の送り出しも積極的にしていきたいという姿勢です。それに関しては何かお手伝いできることはしたいと思っています。
ロシア人との間のトラブル
キルギス国内には愛国者が多くいます。そもそも日本ぐらいですね。愛国者が右翼だと言われて非難されるような変わった国は。まあ、そんな話は置いておいて、このままキルギスで混乱が続けば、キルギス人とロシア人の間でトラブルが起こる可能性が高いです。キルギス人からしたら、仕事を失う人が出て、更に家賃まで高騰して、車も渋滞。ストレスをためる人が出てきて、その原因がロシアにあると考える人が生まれてくるのは必然であると思います。何事も無ければ良いのですが少し心配しています。
ロシア以外へ労働者の渡航
ロシアで仕事が無くなった。そしてキルギスへ帰国しても仕事が無い。そうなると、ロシア以外の国外で仕事を探す人が増えてきます。それは日本も選択肢となる可能性があり、キルギスで送り出し機関をやっている日本人は先日ミーティングをしたらその傾向があると言っていました。政府としてもそれを推進したい考えとのことで、今後実習生として日本企業でキルギス人労働者を招き入れたい企業様はおられましたらご連絡下さいませ。
最後に
キルギスの現状と、今後起こるであろうことについてお話させて頂きました。これは近い将来に起こる可能性が高いと思います。このままロシアとウクライナ間での戦争が長引けばさらに大きな影響があるでしょう。今は他の国々もだましだまし問題を先送り、または可能な限りの対応をしているにすぎません。ダムが決壊する前に様々な無理が生じてくるでしょう。それは日本も他人事ではありません。ダイレクトに物価の上昇という形でそれを感じることでしょう。ただし、そんな世の中の安定した流れではなく濁流の中にこそビジネスチャンスも存在します。何も悲観することだけではありません。皆さん頑張っていきましょう。