20世紀最大の環境破壊と言われているアラル海。アラル海はウズベキスタンとカザフスタンにまたがる湖です。最近カザフスタン側からアラル海の現状についてニュース記事が出ていましたので、それを元に記事を書きます。アラル海は復活するのか?消滅の理由や現状について、どこにあるか地図で説明したいと思います。
20世紀最大の環境破壊と言われているアラル海とは?

上記はアラル海の水位の推移。引用サテナビ
アラル海は、かつて中央アジアに位置し、カザフスタンとウズベキスタンにまたがっていた大きな湖です。20世紀中盤まで、世界で4番目に大きな塩水湖でした。しかし、湖の水位が大幅に低下し、湖の面積も大きく減少しました。1990年代にはアラル海はその元の面積の約10%にまで縮小し、数個の小さな湖に分かれてしまいました。この結果、漁業が壊滅的な打撃を受け、地域の気候も変わり、夏はより暑く乾燥し、冬はより寒くなるなど、極端な気候になりました。
また、湖底が露出することで、塩分や農薬が含まれた土塵が風によって運ばれ、周辺地域の土地を汚染し、公衆衛生問題を引き起こしています。アラル海の縮小は、「20世紀最大の環境破壊の一つ」と広く認識されており、その影響は現在も続いています。以上が広く知られているアラル海の問題です。
アラル海消滅の理由とその影響は?
アラル海の消失は、主に1960年代にソビエト政府によって始められた大規模な灌漑計画によるものです。この計画の目的は、中央アジア、特に現在のウズベキスタンとトルクメニスタン地域の乾燥地帯での農業生産、特に綿花の栽培を増加させることでした。
灌漑計画の影響
アラル海に流入する二つの大きな川、アムダリヤ川とシルダリヤ川の水が、灌漑用に大量に引き抜かれました。この結果、これらの川からアラル海への水流は大幅に減少しました。流入する水の減少により、アラル海の水位は年々低下し、湖の面積も急速に縮小しました。湖の水量が減少すると、溶解していた塩分が濃縮され、湖の生態系に重大な影響を及ぼしました。多くの水生生物が生存できなくなり、地域の漁業は壊滅的な打撃を受けました。
環境への影響
水位の低下と塩分濃度の増加により、アラル海固有の生態系はほぼ完全に破壊されました。アラル海の面積が縮小することで、地域の気候にも影響が出ました。夏はより暑く乾燥し、冬は寒くなりました。露出した湖底から風によって運ばれる塩分や農薬が含まれた塵は、呼吸器系の病気やその他の健康問題を引き起こす原因となりました。
このように、アラル海の消失は、非持続的な水資源管理と環境への配慮の欠如がもたらした悲劇的な結果の一例とされています。
アラル海は復活するのか?

カザフスタンとウズベキスタンにまたがっていたアラル海ですが、今は縮小、分断していて、ウズベキスタン側とかカザフスタン側で湖が分かれてしまいました。アラル海については、カザフスタンもウズベキスタンも大きな問題と捉えており、国の対策以外にも世界からの寄付や慈善団体の活動などがあり、最近興味深い記事がカザフスタンで出されましたので紹介します。
北アラル海の水量が42パーセント上昇
カザフスタンで出た参照記事を元に、少し水量が復活している北アラル海について紹介します。
北アラル海の水量は、北アラル海保全プロジェクトの第1フェーズの結果を受けて42%増加し、270億立方メートルに達したと、カザフスタンのヌルジャン・ヌルジギトフ水資源・灌漑大臣がキズロルダ州アラル地区での国民との会合で述べました。今後はカザフスタン政府と世界銀行はプロジェクトの第2フェーズを進めているので、今後更に状況は改善していくかもしれません。
まだまだこれからが重要
ダムの建設などの対策をして以降、上記で紹介した通り北部アラル海の水位は上昇し、湖の面積も増加しました。これにより、かつて枯渇していた地域に水が戻り、漁業が再開されるなど地域経済にも好影響を与えました。水質の改善も見られ、漁業が復活の兆しを見せ、地元住民の生活にもプラスの影響をもたらしています。
しかし、この復活は北部アラル海に限定されており、全体としてのアラル海の再生にはまだ遠い道のりがあります。南部アラル海は依然として深刻な状況にあり、総合的な解決策が求められています。
2025年のアラル海の現状まとめ
上記でも書かせて頂いた通り、2025年現在、アラル海、特に北アラル海は、地域協力と国際的努力のおかげで、部分的に回復の兆しを見せています。そして、今後もアラル海の復活に向けた取り組みは行われていくでしょう。しかし、それは北アラル海での話であり、それは昔、世界4位の大きさを誇った時のアラル海の姿にはほど遠いです。そもそもカザフスタンやウズベキスタンは乾燥した土地が多く、元のアラル海の姿を復活させるのは簡単な話ではありません。本当の意味で元の姿を取り戻すのはまだまだ先の話であり、困難な道であることは間違いありません。
最後に
ウズベキスタン政府もアラル海を何とかしたいと考えており、植林などの活動を行っています。私自身も、アラル海の植林に対する寄付を募ったら植林させてもらえますか?と聞いたら、いくらでもやってくださいと言う返答を貰った過去があります。会社の利益の一部で植林する意外にも、財団の様なものを設立して現地で植林プロジェクトをすることも弊社の一つの目標です。実現に向けて頑張っていきたいと思います。ウズベキスタンで一緒に財団の設立などをすることに興味がある方は是非お問合せフォームからご連絡下さいませ。