現在のキルギス共和国は、1936年にソビエト連邦を構成するキルギス・ソビエト社会主義共和国となり、1990年12月15日「キルギスタン共和国」に改名して、1993年5月に現在に国名である『キルギス』に改名されました。要するに、違いは何かと言うと、キルギスは現在の国名で、キルギスタンは旧国名です。
そもそもキルギスタンや他の国名にもある~スタンって何?
「スタン」はペルシア語起源の接尾辞で、「場所」や「土地」を意味します。この接尾辞は中央アジアや南アジアの多くの国名や地域名に使われており、具体的には「住む場所」や「住人の地」という意味を持ちます。したがって、旧称「キルギスタン」の「スタン」は、「キルギス人の土地」を意味していました。独立後、キルギス共和国はより自国の言語と文化を反映した名前を採用することにしましたが、この「スタン」の意味は中央アジアの歴史的な背景と密接に関わっています。
何故キルギスと言うのか
キルギスという国名は、その国の主要民族であるキルギス人に由来しています。キルギス人は中央アジアに住む遊牧民族で、彼らの文化や歴史はこの地域の重要な一部です。「キルギス」という名前は、キルギス語で「四十」という意味の「кырк(kyrk)」に由来するとされています。伝説によれば、キルギスの祖先は四十部族に分かれていたと言われ、そのため「キルギス」という名前が使われるようになったという説があります。
なぜキルギスタンからキルギスになったの?
冒頭で述べている通り、旧国名がキルギスタンで、現在の国名がキルギスであることは分かりましたが、そもそも何故キルギスになったのか?そんな微妙な変更の理由については私も気になったので調べてみました。所説ありますが、いくつかの理由と思われるものを紹介します。
自国のアイデンティティを反映した名称にするため
キルギスタンの正式名称が違う名称である「キルギス共和国」に変更されたのは、国の正式な国名を母国語に基づいたものにするためです。旧称「キルギスタン」はソビエト連邦の時代の名称であり、独立後、より自国のアイデンティティを反映した名称に改めることが望まれました。特に、1991年のソビエト連邦崩壊後、多くの新独立国家は自国の文化や言語に基づいた名称を採用する動きが強まりました。キルギス共和国もその一環として、国際的にも自国の名称を「キルギス(Kyrgyz Republic)」に統一することを決定しました。この変更により、国際的にも自国の独立性や文化的な独自性を強調することができました。
他民族のため、他の民族に配慮するため
国名で『~スタン』と言う国名はいくつかありますが、先述の通り、『キルギスタン』は「キルギス人の土地」を意味します。しかし、キルギスはキルギス系(73.8%)、ウズベク系(14.8%)、ロシア系(5.1%)、ドゥンガン系(1.1%)、ウイグル系(0.9%)、タジク系(0.9%)、その他タタール系、ウクライナ系など(2021年:キルギス共和国統計委員会)の人口割合で、他民族が共生している国であり、他の民族に配慮したと言う説もあります。これは、周辺国も、民族間対立などを起こしていることにも理由があるとされています。他の民族からしたら、私達はキルギス人とは違います、でも国名はキルギス人の土地って何?と言われてるのを避けたかったんでしょうか。
最後に
キルギスタンとキルギスの違いは何なのかと言う疑問を持つ人が結構いらっしゃいましたので、こうして今回は記事にしてみました。この記事で、気になっていた疑問が少しでも解消されたなら幸いです。この記事だけではなく、キルギスに関する記事は沢山ありますので、気になる方は是非他の記事もご覧下さいませ。