この記事では、キルギス人の妻と、弊社の代表取締役である日本人の私との間にキルギスで初めての子供となる長男が生まれたので、私たち国際結婚夫婦のその時の様子や、キルギスの産婦人科での出産はどんな感じだったのかなど、情報が無いと思うので書いてみたいと思います。参考になる人は少ないと思いますが、ぜひご覧下さいませ。
日本ではなくキルギスで出産を選んだ理由
良く日本の友人や、キルギスの妻の友人など、多くの人達から聞かれた質問がありました。「なんで日本じゃなくてキルギスで出産を選んだの?」と。その理由について書かせて頂きます。
母子の安全を考えたら日本です
多くの人から質問された理由はこれです。医療技術のレベルが日本とキルギスでは大きくかけ離れているという点。何か問題が起きた時に、出産を考えたら日本の方が良いんじゃないのか?と言う質問ですね。確かにその通りです。それは妻も私も十分理解していました。そのため、定期的に血液チェックや医師の診断。そしてエコーから見れる情報や、子供の成長具合などを見て、ぎりぎりまで見定め何か不安なことがあれば日本で出産することを考えながらキルギスで生活していました。そして、順調に子供が成長していると判断したこともありますが、これから話す理由などもあり、キルギスでの出産という選択を私たち夫婦は下しました。
子供の可能性を広げたかった
国際結婚夫婦の子供の出産であれば、出生時にキルギスの様な国籍生地主義を採っている国(アメリカやカナダなど)で子どもが生まれれば、出生地国の国籍も取得することになります。日本は父または母が日本国籍を持つ場合、生まれた場所が国内外にかかわらず、その子に日本国籍を与える「父母両系血統主義」を採用しています。そのため、血統主義を採る国の国籍を承継することができる国民が生地主義を採る国で子を産めば、 その子は重国籍となる。ちなみに日本で出産した場合には、その子供は日本国籍のみ取得可能で、重国籍にはなりません。
日本の法律では国籍の選択について、外国の国籍と日本の国籍を有する人(重国籍者)は、20歳に達するまでに(18歳に達した後に重国籍になった場合は、重国籍になった時から2年以内に)、いずれかの国籍を選択する必要があります。 選択しない場合は、日本国籍を失うとなっています。要するに、私たち夫婦は、将来的に子供に国籍の選択肢を与えることが出来るなら、その可能性を排除しない選択をしたということです。
以上の理由から、私たち夫婦は妊娠発覚後にキルギスへと飛び、出産に備えて準備してきて今回の出産を迎えたという流れです。
産婦人科選び
キルギスで産婦人科を選ぶことは非常に重要です。どこも似た様なサービスなんでしょう?なんて日本なら考えるかもしれません。しかし、キルギスでは大きく対応が変わりますし、信じられないことが起きたりします。私の知り合いは、奥さんが帝王切開にて出産後、病室が無いからと病院の待合のソファーに寝かされたというから驚きです。大きく分けて2つの病院について行った時の話と選択した病院について選択理由などを紹介します。
公立病院
国立だとか、その名の通り公立病院ですね。私たちは当然公立も候補には一応入れて行ったのですが、低価格の効率病院で出産を希望する人は多く(ポケットマネーなど渡したりは日常茶飯事だが、それでも安い)、更にキルギスは人口がすごく増えており、出産を控えた妊婦さんで溢れかえっています。そこに来て、サービスの悪い公立病院となると、どんな対応になるかは分かりますよね?私たちは、出産までの流れや費用などを聞きに行きました。すると、「私は忙しいからあっちの先生のところに聞きに行って」みたいなことを言われて、指定された先生のところに行くと「あー。今忙しいから明日来てくれる?」と言われました。明日の何時とも言われずにです。とりあえず明日来てくれと。先述の、奥さんが出産後に病院の待合のソファーで寝かされたものこの公立病院です。私たちは、この様な対応をされた瞬間に公立病院で出産するという選択肢は消滅しました。
私立病院
公立の選択肢が消滅した後、私たちは私立の産婦人科に行くことにしました。3つの産婦人科について調査をしました。一つ目高額だが、最も良いと有名な産婦人科、そして2つ目が最近新しく出来た産婦人科、3つ目がただ家の近所だっただけの産婦人科。一体私たちはどの産婦人科を選んだのでしょう。
私たちが選んだ産婦人科。その理由
結局私たちが選んだ産婦人科がどこだったかと言うと、上記で話した3つ目のただ家の近所だっただけの産婦人科です。その理由は大きく3つです。
理由1.とにかく近い
産婦人科が近いということは大変重要です。誰もが重視することでは無いでしょうか?母子に何かあった時にすぐに行けること、産気が感じられたらすぐに行けることなど、メリットは多くあります。
理由2.妻の日本人の友達の口コミ
妻の日本人の友達で、キルギスで出産をした友達がいます。そして、妻が彼女に、どこの病院で出産したのか、そしてどうだったのかを訪ねたところ、なんと私たちの近くの産婦人科だったのです。そして、担当したドクターを紹介してもらい、すぐに行ってどのドクターと話をしました。
理由3.妻が安心出来た
何より大きいのは、妻の友人から実体験を元にした口コミが聞けたこと、そしてドクターと実際に話をしてここなら大丈夫だろうと言う安心感を得られたことです。これが最も重要な理由でした。
産婦人科で必要なもの
①母となる人物のパスポート
②キルギス版の母子手帳(住んでる地域の効率病院から手に入る)
③出産準備セット(母子の服をはじめ、病院は基本的に出産前の入院中に必要な物や、出産後に使うタオルや紙おむつなど多くの必需品は自分で準備して病院に持って行く)
④お金
大まかには必要なものは上記の通りです。
日本とキルギスの産婦人科の差
基本的に日本では出産をどの病院でするかを選択します。しかし、キルギスでは病院の選択の他にドクターも指名します。そしてドクターによって価格が違ったりします。例えば人気のドクターな高いみたいな感じですね。この辺りが大きく異なる点ですね。また、日本では基本的に選択した病院どこでも出産可能だと思いますが、キルギスの場合、公立病院で出産する場合は住んでる地域で決まっています。しかし、私立の産婦人科であればどこでも出産が可能です。
出産前の準備
出産前の準備として、【産婦人科で必要なもの】でも書かせて頂いた出産準備セットの準備をします。結構沢山いろんなものを買う必要があり、必要な物のリストは産婦人科のドクターから教えてもらえるのでそれを準備します。それが出来たらあとは産気づいたら産婦人科に行くだけです。
キルギスの病院に入院から出産まで
妻が産気づいた時から、入院、そして出産、それからまた入院してから退院に至るまでの流れなどは以下の通りです。
陣痛から出産まで
そして、準備が整った私たちにその時は来ました。10月18日の午前7時30分。妻が気配を感じで「今日か明日産まれると思う。」と私に言いました。2時間に一度の周期でお腹が痛くなっているということでした。
そして10時40分ごろ産婦人科に向かいチェックしたら、もうすぐ生まれますとのことで、そのまま入院となりました。そこからは妻の陣痛の周期が短くなり、16時45分ごろもう生まれるということで分娩室への移動。私も立ち合いが出来るということで同行しました。
そこから38分後の17時23分。わが子はこの世に誕生し、へその緒は私がカットしました。妻の頑張りがあってこそ。男など、この時は無力でしかありません。
出産から再度入院
出産が終わると、子供はすぐに母のお腹へ。妻が赤ちゃんをお腹の上に置いた状態で2時間。しばらくそのままの姿勢で待つことになりました。その間に、母子の体の状態も変化し、ミルクが出るまでの準備となります。2時間後、軽く子供の体の汚れが拭かれて、ビタミンKが赤ちゃんに注射されて病室へと移動。母子の入院が始まります。
入院から退院まで
私たちは、2晩での退院を選択しました。もし延長する場合はもう3日と言われたこともありますが、何よりも、2晩で産婦人科の先生方に、赤ちゃんの抱き方や、生活の中での対応方法など、聞きたいことは全て教わったという状況にあったこと。そして、入院中はベッドの横にベビーベッドが置かれて、赤ちゃんと妻が二人三脚で生まれてすぐから母乳をあげることは当然のことながら紙おむつ交換など、自分で家で赤ちゃんの面倒を見ている状態に近い環境が開始されたのです。そして、その中での疑問点はすぐに質問して実践したということもありましたし、何より産婦人科が済んでいるマンションから300メートルも離れていない場所にあったため、何かあればすぐに駆け付けることも出来るという状況だったことが理由です。
トータルの金額
私たちの今回の産婦人科での出産費用や入院費用は以下の通りでした。キルギスでは、そこそこ良い産婦人科です。日本と比べたら安いと思うかもしれませんが、裏側にある医療レベルや対応などを考慮すると日本の場合は安心感が段違いです。
項目 | 金額 |
出産費用 | 42,000ソム |
入院費用(2日間) | 7,000ソム |
会陰切開、縫合費用 | 2,000ソム |
赤ちゃんの頭蓋骨チェック | 500ソム |
合計金額 | 51,500ソム(およそ86,400円) |
最後に
以上、相当レアな日本人とキルギス人の国際結婚夫婦である私たちの、キルギスでの出産を選択してから、出産後までの流れなどを紹介させて頂きました。今後もし、キルギスでの出産をお考えの方は、ご相談頂ければ相談に乗れるかもしれません。なかなかいないとは思いますが、、、今後はビジネスや現地の情報に加えて、中央アジアと日本間の子育てなどの生活情報を発信して行きたいと思っております。