近年、中央アジアの成長国として注目を集めているウズベキスタン。政治、経済の安定化が進み、外資誘致に積極的な政策が展開される中、日本をはじめとした世界各国の企業が「ウズベキスタン投資」に関心を寄せています。あらゆる分野でのビジネスチャンスが広がっており、本記事では、ウズベキスタン投資の最新動向を紹介します。
代表的なウズベキスタン投資

私は以前、クライアントから、中央アジア諸国の有益な投資関連情報の収集を任されていたことがありました。その契約期間は終わりましたが、引き続き常に情報は収集しております。そんな中で私が考える代表的なウズベキスタンの投資案件をいくつか紹介します。
不動産投資

私がもし、友達から『ウズベキスタンで投資するなら何がオススメ?』と聞かれたら私は真っ先に不動産と答えるでしょう。タシュケントを中心に都市部では不動産価格がどんどん上昇しています。今ならまだ安いねと思える価格ですし、貸した場合でも年利で10%程度は十分狙えます。その上売却を考えても、日本みたいに年数に応じて速攻で価値が落ちることもありません。古いマンションなどでも比較的値が落ちません。そもそもソ連時代の建物に住んでる人も多いですからね。また、弊社ウズベキスタン営業所長の友達がウズベキスタンでも有数のデベロッパーの代表です。たまにお客様から依頼されて、ウズベキスタンの不動産を見て回るツアーのアテンドをしております。興味ある方は是非お問い合わせフォームからご連絡下さいませ。
製造業への投資
2024年、製造業への投資は前年比60.6%増の約92億ドルに達し、最も多くの資本を集めた分野となっています。個人的にはウズベキスタンの綿を利用したテキスタイルなどの業界で製造業として上手く行く様な気がしますね。また、そもそも製造業と言うもの自体が少ないですから、製紙であったり、プラスチック製品の製造工場であったり、いろんなものが十分に無いので狙い目な気がします。政府と話合って、ウズベキスタンに工場を作る代わりに、自国生産では無い同様の製品に関税をかけてもらう様にするとか、、、なんて話も出来る可能性もありますね。
エネルギー関連投資
太陽光発電や廃棄物発電など、エネルギー関連の中でも再生可能エネルギー分野への投資が活発化しています。 日本で今開催されている大阪万博のウズベキスタン館も、3つのセッションのうちの一つがクリーンエネルギーです。旗振り役の団体のボスが大統領の娘で、推し進めていますね。例えば、2024年10月には約13億ドルを投じて廃棄物発電所の建設が発表されました。また、太陽光発電にも政府としてはどんどん進めていきたい意向があるみたいです。そんな希望はあるものの、そもそもエネルギーが足りてない問題もあり、私のところにも政府関係者から自家発電設備を民間企業に勧めていくために銀行貸し付けを行うに値する企業を紹介して欲しいとか言われたこともありましたね。エネルギー関係には大きなチャンスが眠っています。発電所を建設したら、国からの売電契約なんかも締結可能(コネクションを使って)です。
鉱業(レアメタルなどの重要鉱物)への投資
リチウム、黒鉛、マグネシウムなど32種類の重要鉱物が埋蔵されており、EUや韓国、マレーシアなどとの連携が進んでいます。レアメタル関係については政府のコントロール下にあるので、コネクションが無いと進められませんね。やりたい大手の会社さんがいらっしゃいましたら上手く弊社で話しますので、ご要望があれば教えてください。日本政府筋から行ってもなかなか進まないと思います。そういう国です。
IT・スタートアップの投資
IT Park Uzbekistanは、2,500社以上の企業が参加し、2024年には38,600人の雇用を創出しました。 IT Park Uzbekistanは経済特区になっており、非常に安価で素早く法人設立をしてくれるし、使える人からしたら非常に良い経済特区な気がします。しかし、IT Park Uzbekistanの営業担当から私は連絡を貰って、アンバサダーに推薦して良いかと聞かれたので、是非お願いしますと答えました。その後連絡が無いですからね。ちょっとイラついてます。どこかのルートから話してみようかなと思っています。
日本企業のウズベキスタンでの投資、活動例

日本企業は近年、ウズベキスタンへの投資を積極的に進めており、エネルギー、製造業、IT、医療など多岐にわたる分野での展開が見られます。以下に主な投資事例を分野別にご紹介します。
エネルギー・資源分野
エネルギー・資源分野における日本企業の代表的な投資例を紹介します。
伊藤忠商事
2025年3月、フランスのOrano社およびウズベキスタン国営のNavoiyuran社との合弁企業「Nurlikum Mining」に少数株主として参画し、南ジェンゲルディ鉱山のウラン開発プロジェクトに参加しています。
JBIC(国際協力銀行)
2024年11月、ウズベキスタン投資産業貿易省と業務協力協定を締結し、クリーンエネルギーや社会インフラ分野での日本企業のビジネス機会創出を支援しています。
製造業・インフラ分野
製造業・インフラ分野における日本企業の代表的な投資例を紹介します。
いすゞ自動車
サマルカンドにおいて、中型バスやトラックの組立事業を展開し、現地の輸送インフラ整備に貢献しています。
双日
石油・ガス分野でのプロジェクトを実施しており、2022年にはシルダリヤ州での大型火力発電所(Syrdarya II IPP)建設計画に関与しています。
IT・人材育成分野
IT・人材育成分野における日本企業の代表的な投資例を紹介します。
キャル株式会社
2024年4月、タシケントに事務所を開設し、ウズベキスタンのIT人材を活用したソフトウェア開発や人材教育を推進しています。
株式会社デジタル・ナレッジ(Japan Digital University)
若年人口の多いウズベキスタンにおいて、高度IT人材の育成を目的とした教育事業を展開しています。
医療・ヘルスケア分野
医療・ヘルスケア分野における日本企業の代表的な投資例を紹介します。
ヤグチ電子工業
小児弱視の早期治療を目的とした医療機器の臨床試験をウズベキスタンで開始し、現地の医療技術向上に寄与しています。
ウズベキスタンで投資を検討する際のポイント

ウズベキスタンで投資を検討する際に抑えておきたいポイントを紹介します。
外資保護と法的枠組み
ウズベキスタンへの投資を促すために外資保護の法的枠組みとして以下の様なものがあります。
外国投資家保護法(1998年制定)
この法律により、外国投資家の権利と資産が保護され、以下のような措置が講じられています:
- 国有化の禁止:正当な理由なく外国投資家の資産を国有化することは禁止されています。
- 差別的扱いの禁止:外国投資家は国内投資家と同等の権利を有し、不当な差別を受けません。
- 投資仲裁制度の整備:投資紛争が発生した場合、国際仲裁機関を通じて解決する仕組みが整備されています。
外国企業の定義と土地利用権
外国企業として認定されるためには、以下の条件を満たす必要があります:
- 外国出資比率:企業の株式または法定資金の15%以上が外国投資であること。
- 土地所有権:外国企業は土地を所有することはできませんが、最長49年までの借地権を取得することが可能です。
投資優遇制度と税制措置
税制に関してもいくつかの措置があります。
投資規模に応じた税制優遇
特定の産業分野で一定額以上の直接投資を行う外国企業には、以下のような税制優遇措置が適用されます。
- 土地税、法人資産税、水資源利用税の免除:投資額に応じて3〜7年間の免除が適用されます。
- 対象産業:電子産業、軽工業、食品産業、再生可能エネルギー、観光業など。
経済特区(SEZ)での優遇措置
経済特区に進出する企業には、以下のような追加的な優遇措置が提供されます。
- 法人税の免除:投資額に応じて3〜10年間の免除が適用されます。
- 関税の免除:輸出製品製造に用いられる原料、材料、部品の関税が免除されます。
- 土地利用権の延長:借地権の期間が最長49年まで延長されます。
政府機関と投資支援体制
ウズベキスタンの政府として、外資からの投資のために以下の様な体制を敷いています。
ウズベキスタン投資促進庁(CIPA)
CIPAは、外国投資家に対して以下のような支援を提供しています:
- 投資案件の紹介とマッチング:投資機会の情報提供とパートナー企業の紹介。
- 法的・行政的手続きの支援:企業設立や許認可取得のサポート。
- 投資後のフォローアップ:事業運営に関する相談や問題解決の支援。
日本企業向けの支援
日本企業がウズベキスタンでの投資を検討する際、以下の機関がサポートを提供しています:
- ジェトロ(日本貿易振興機構):市場調査、ビジネスマッチング、現地情報の提供。
- 在ウズベキスタン日本国大使館:政治・経済情勢の情報提供、現地企業との関係構築支援。
ウズベキスタン投資に関するポイントまとめ
法的安定性:外国投資家の権利保護が法的に明確に規定されています。
税制優遇:投資額や産業分野に応じた税制上のメリットがあります。
政府の積極的な支援:外国投資誘致庁をはじめとする政府機関が投資家をサポートしています。
土地利用の柔軟性:所有はできませんが、長期の借地権を取得することが可能です。
日本企業向けの支援体制:ジェトロや日本大使館が現地でのビジネス展開をサポートしています。
ウズベキスタンは、外資誘致を国家戦略として位置づけ、法制度の整備や税制優遇措置の導入、政府機関による支援体制の強化など、外国投資家にとって魅力的な投資環境を整備しています。特に、再生可能エネルギー、IT、製造業、観光業などの分野での投資機会が広がっており、今後の成長が期待されます。
最後に

ウズベキスタン投資に関する記事を書いてみましたが、いかがでしたか?日々法律も変わったりしますし、新しい仕組みも日々出来ていますので、ここでの情報が全て正しいとは限りません。自分自身で直接確かめるのが良いです。現地に行って各省庁に回ったりしながら確認しないと、なかなか鮮度の高い正しい情報はつかめないかもしれません。もしウズベキスタン投資に興味がある方がいたら、弊社で現地での情報収集や視察などのアテンドなど、全て対応可能です。興味がある方はお気軽に問い合わせフォームからご連絡下さいませ。